研究概要 |
リーディング指導における発問の中でも、とくに推論発問の活用方法に焦点を絞り、生徒の主体的な読解を促すための優れた推論発問の特徴を整理し、具体的な発問例と作成ポイントを考案し、考案した発問が読解に与える影響について考察した。 推論発問とは,テキストの情報をもとに,テキスト上には直接示されていない内容を推測させる問いを指す。テキスト上に直接示された内容を読み取らせる事実発問とは異なり,推論発問には次のような利点があることを明らかにした。1.テキストの細部と全体を必然的に読み取らせる2.同じテキストを何度も繰り返し読ませる3.生徒の背景知識を活性化し具体的な理解を促す4.他の生徒と異なる解釈や考えを共有することで別の角度からのテキスト解釈を促す5.テキストの主題を生徒自身の力で気づかせる。 英文テキストには必ず主題があるが、主題はテキスト上に直接述べられていないことが多く、テキストに書かれている情報をもとに、テキストに込められた主題を読み取らせる工夫が必要となる。そこで役立つのが推論発問であり、次のような点で生徒にテキストの主題を捉えさせる推論発問ができることを提案した。1.テキストには書かれていない場面や状況、2.登場人物の行動や意図、3.人物の性格や心情・関係、4.行動や出来事の結果、5.テキストにはない動作やセリフ、など。 また、推論発問づくりの際にとくに工夫すべき点は、以下の点であることを指摘した。1.テキストの主題に関わる問いである、2.テキスト内に必ず推論のためのヒントがある、3.異なる意見や解釈を引き出す問いである、である。これらのポイントを踏まえることで、生徒のテキスト理解を深めるだけでなく、教師と生徒との英語でのやりとりを活性化できる可能性があることを提示した。
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