研究概要 |
本年度は,幾何領域における「論理(論証)」に焦点をあてて,小学校段階における簡単なカリキュラム試案の作成及びそれらの教材開発の検討を行った。実際の内容は次の通りである。低学年では「素朴的論証(論理)の数学」として,素朴的に帰納的,類推的な考えを行う活動が必要となるため,それに見合った教材を検討した。中学年では「帰納的-演繹的論証(論理)の数学」として,この段階では児童がすでに,数学的にさまざまな図形やその性質を理解しているため,的確な帰納的及び容易な演繹的証明を行う内容の教材を検討した。高学年では,「演繹的論証(論理)の数学」として,この段階では児童が抽象思考段階となり,抽象思考を発展させるような教育内容が必要となるため,的確な演繹的証明を行う内容の教材を検討した。 また,小学校段階で子どもの論理の実際を探るため,大阪府の公立小学校1年から6年生で約300人の児童を対象に文章題の作成調査(生活に関わる簡単な文章題作成と最も難しいと考える文章問題作成の調査)から,小学校段階の子どもの論理の実際を検討した。さらに,現在までに明らかにされている小学校段階における空間認識の発展の様相を,さらに詳細に探るため,小学校以前の幼児(4歳児,5歳児)を対象として実際に調査し,その傾向を明らかにした。 一方で,学校算数において,子どもにとって意義ある"算数的活動"の検討を行った。その中で,算数的活動の種類は,目的・形態・段階によって分類できることが示された。そして特に「応用」段階に関する,意義ある算数的活動の実践(一部が幾何領域)を示し,検討することから,それらの実践に意義があることを示した。
|