研究概要 |
本研究は,教師が授業を行う際に,自分の活動をモニターしながら,持っている知識や技能を適切に活用する力を「教師のメタ認知」と捉え,数学教育における教師のメタ認知能力の育成方法を解明することを目的とする。その際,申請者がこれまでに取り組んできた子どものメタ認知能力の育成方法に関する研究成果や,ティーチング・ポートフォリオに関する研究成果が有効に活用する。さらに,一般的な教授方略に関して研究が始まった教師のメタ認知能力の研究を,数学教育の文脈で検討することにより,数学教育における教師教育への重要な示唆が得られるとともに,他教科教育への研究の波及可能性をもつものとなる可能性を目指している。 具体的に平成21年度は,下記の点について研究を行った。 (1) 算数・数学科教師のメタ認知を調査する方法を検討した。 メタ認知能力が高い教師は,自分が持っている教授知識が授業で活用できる状態(活性化した知識)である。つまり,教師の知識が活性化している知識なのか,不活性な知識なのかを調べることで,教師のメタ認知能力の特徴を分析する方法を検討した。 (2) (1)の結果を次の視点から分析することで,教師のメタ認知の特徴を考察した。 活性化されている知識(教師が持っている知識でかつそれを使うことができている)と不活性な知識(教師が持っている知識だがそれを使うことができていない)を同定する観点を検討し,教師のメタ認知能力の一側面の特徴を考察した。
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