研究概要 |
21年度は,各種学会発表や学会誌,家庭科教師と家庭科教育研究者の授業検討会等から,本研究に関する文献や情報の収集および検討を行うことを目的とした。今年度は,本研究の初年度にあたり,生活設計教育に限らず,家庭科教育全般に視野を広げ,授業における学習目標の設定,指導内容と教材選択等について考察した。その成果として,生活設計のライフイベントの一つである子育てについて,保育体験学習の授業実践に関する研究や,生活に対する価値観を反映するものとして,環境教育に関する研究をまとめた。授業の学習目標を設定する際に,授業対象者である生徒の生活実態を把握することとともに,学習内容に対する教師自身のもつ価殖観が,少なからず影響している。家庭科教育において,教師自身の価値観が反映される領域としては,家族・保育・高齢者領域が顕著であるが,食生活領域においても食品添加物をどのように取り上げるかにおいて,各教師により違いがみられた。また,教師の授業設計の視点についてみたところ,教師自身が自らの価値観を自覚し,それとは離れて客観的に授業を進めようとする教師もいるが,その逆の教師もいることがわかった。生活における科学的理解を深めることと,生徒の生活観や人生観にかかわる価値意識に対して,どのように教師が働きかけようとしているのかを,今後,探る必要がある。生徒の生活実態は,実にさまざまである。それゆえに,教師がどのような視点に立って,学習目標を設定し,授業を設計しているのか,次年度以降,具体的な調査を進めていきたい。
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