2010年度の成果は次のような点である。まず一点目は、戦争遺跡の調査を戦争遺跡の専門家(沖縄県埋蔵文化財センター職員、島田組文化財担当職員)との協力で分布調査を実施し、実測ならびに記録をとることができたことである。具体的には、西表島船浮要塞関連遺跡群の調査においては、サバ崎地区の砲台、弾薬庫など関連施設を新たに発見し記録したこと。西表島崎山地区にある海軍の作成した見張所(望楼)についての詳細調査を実施したことである。これらは、悪天候等により調査が3月にしか実施できず、2011年4月以降の研究論文による発表を予定している。これらの調査は、沖縄県埋蔵文化財センターによる戦争遺跡の確認調査とも連動して実施されることで、本成果が沖縄県のデータとして共有されていくことにも重要な成果である。また、石垣地区において、戦争遺跡の調査を実施してこられた松島昭司氏からの聞き取りも行い、本調査で明らかにならなかった点の補足の聞き取りも行うことができた。このような具体的な戦争遺跡の実相から離島における戦争遺跡を活用した学習プログラムを構想していきいたい。 もう一つが、教材開発の実験として「やってみよう米軍基地クイズ」を作成し、試行してきたことである。本年、平和学習の調査、研究会への参加をする中で、新聞報道にもある「米軍基地問題」について学ぶ教材の必要性が出された。教材開発の試行として、1時間程度でとりくむことが可能な教材「米軍基地クイズ」を作成し、実際に教員に試行することで教材開発の視点(だれでもとりくめる教材)を研究してきた。
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