本研究の目的は、児童が自分自身の歌唱において内的フィードバックができ、同時に児童の心理面に着目した音痴克服における歌唱指導教材の開発である。 研究初年度にあたる本年度は、まず、過去に指導を実施した対象児童(指導前に内的フィードバックができなかった児童)の中から2名について追跡調査を行った。声による音高合わせ、内的フィードバックのテスト、既成曲の歌唱、また本人と保護者に対するインタビューを行った結果、内的フィードバック能力が定着しているだけでなく、歌唱に対する意識と歌唱行動の変化についても確認された。 また、研究協力校における小学第6学年の児童約80名に対し、第4回歌唱調査を2009年6月、第5回歌唱調査を2010年2月に実施した。対象学年の児童については、第4学年から同歌唱調査を実施しており(第1回から3回までの結果については、2009年10月、日本音楽教育学会第40回全国大会において「児童の歌唱における内的フィードバックに関する縦断的研究-小学生を対象とした歌唱調査の分析を通して-」を発表)、本年度の結果と総合し、小学校中学年から高学年にかけての3年間における、児童の声による音高合わせと内的フィードバックについての変化について現在分析を行っている。 同時に、歌唱指導教材の活用の視点から、小学校の音楽授業観察及び音楽科教員に対するインタビューを、研究協力を得られた国内の小学校とバルドシュ・ラヨシュ音楽小学校(ハンガリー)において行った。
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