研究課題/領域番号 |
21730707
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
小畑 千尋 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20364698)
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キーワード | 音痴克服 / 歌唱指導 / 児童 / 認識 / 内的フィードバック / 教材開発 |
研究概要 |
本研究は、児童が目分自身の歌唱において内的フィードバック(目分目身の歌唱の音高・音程が合っているかどうかについての認知)ができ、同時に児童の心理面に着目した音痴克服における歌唱指導教材の開発が目的である。 研究3年目にあたる本年度はまず、昨年度実施した研究協力校(A小学校)の全校児童(約500名)を対象とした歌唱に対する意識に関する質問紙調査結果の分析から、内的フィードバックは、歌唱活動における意欲、自信、自己肯定感にも強く関連する可能性があること、さらに歌唱指導の際には、表出された歌声だけでなく、児童の内的フィードバックを指導者が意識し、指導を行うことが重要であることが改めて明らかとなった。この結果は、日本音楽教育学会第42回全国大会に於いて発表し(「歌唱に対する児童の意識調査-内的フィードバックとの関連を中心に-」)、意見交換を行った。また、新曲を歌う際に、声とピアノのどちらの音色をモデルとして聴いた方が歌いやすいのかを明らかにすることを目的に、実際に新曲を覚える場面に近い状況で行った歌唱実験の結果を、日本保育学会第64回全国大会に於いて発表した(「歌唱における音取りに音色が及ぼす影響」)。 これらの研究結果を踏まえ、2012年2月から3月までの間に全8回、研究協力校(B小学校)の6年Cクラスの全児童を対象に、音高・音程を正しく歌えるための歌唱指導を筆者が行った。同時に担任教諭の協力を得て、担任教諭が同じ教材を用いてCクラスの児童全員に対して指導を行った。現在、指導過程、及び担任教諭、音楽主任教諭への聞き敢り調査の分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度研究協力小学校において実施した質問紙調査について、予定通り分析を進め、国内学会で口頭発表を行った。同時に、他の研究協力小学校においても予定どおり音高・音程を正しく歌えるための指導を実施することができ、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度から本年度までに実施した小学校における授業観察、歌唱調査、質問紙調査、歌唱指導の事例分析から、音高・音程を正しく歌えない児童に対する1対1の個別指導だけでなく、音高・音程を正しく歌える児童も含めた集団に対しての歌唱指導教材を開発することが、より学校教育現場で活用できる教材として適していることが分かった。そこで平成24年度は、個別・集団指導において活用できる「音痴」克服のための歌唱指導教材を作成し、小学校音楽専科教諭、及び担任教諭2名の協力を得て、実際に指導を実施し、教材の検証を行う。
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