本研究では,創造的な協働学習を実現するための,話し合う・聞く・話す・書くといった言語的リテラシー形成を促すプログラム及び,言語活動を重視した科学技術カリキュラムの実践と,評価を主たる課題とした。平成23年度は「研究推進体制の構築」「創造的協働学習を評価するためのルーブリックの改善」「協働思考プログラム改善・実践」を中心に研究を進める一方,24年度(繰越)は「言語活動を重視した単元の構想・実践」及び「研究活動の総括」を行った。 ①研究推進体制の構築:研究協力者がA大学教育学部附属A小学校から一般公立校へと異動したため,研究推進体制を再構築することとなった。 ②言語活動を重視した協働学習を評価するためのルーブリック改善:スタンダード準拠評価に関する連合王国北アイルランドの基礎資料を収集・分析するとともに,基礎研究から得られた知見と実践校の実態をふまえつつ,ルーブリックの再構成を行った。 ③協働思考プログラム(応用プログラムを含む)の改善・実践:45分授業に対応した協働思考プログラムを構想・実践した。その結果,スタンダード準拠評価から話し合いの質的な向上がみられたことがわかった。また本実践から,教師には通常の授業とは異なる「言語運用」が求められるため,円滑な実施のためには,研修用のプログラムの必要性が示唆された。 ④言語活動を重視した単元の構想・実践:1年生の生活科を中心に単元の構想と実践を行った。その結果,トークルールを意識させることで,円滑かつ理性的な話し合いを展開することができることが明らかになった。 ⑤研究の総括:平成21~24年度の教育実践研究について,1) スタンダード準拠評価の円滑な実施のための指導体制,2)ルーブリックを活用した学習指導法,3) 科学技術教育カリキュラムのデザインに関わる学年間の連携の在り方の視点から総括するとともに,研究成果をまとめた報告書を刊行した。
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