若年者は、進路の決定に悩み、安定した職業・キャリアに就くことができないまま方向を見失っており、それがさまざまな形で若年者の労働問題を引き起こしている。その背景として勤労意識の希薄化の傾向がある。希望喪失が問題視されている現代社会において、若年者の希望育成が必要であり、学校教育の課題のあり方を示唆することである。これを踏まえて、本研究の目的は、若年者の希望の保有がキャリア形成と早期離職に及ぼす影響を明らかにすることである。 昨年度の研究結果を踏まえて、今年度は希望の概念を探り、若年者の希望の位置づけを解明しながら、希望はキャリア選択にどのような関連性があるのか、そして、若年者にとっての希望の実態の類型化を試みた。若年者の希望に対するアンケート調査結果から希望があると語る学生は、友人や教師など人との出会いによって動機付けられ、挫折経験をもち、社会的ネットワークを広げているという傾向が示された。また、若年者を対象とした実態調査をもとに希望をカテゴリー化し検討した結果、希望を抱く過程に伴う感覚としての「感情」、望ましい意未来の結果の知覚としての「認知」、希望をもつ行為の方向性としての「行動的」、希望を生み出す精神的・手段的指示が得られる人的資源としての「対人関係」、希望の維持・促進につながるものとしての「活力」の6つの分類にすることができた。 来年度は、アンケート調査結果より早期離職の可能性を明らかにし、予測やパターン化の検討を行う予定である。
|