研究概要 |
高校での森林・林業の専門教育は、環境問題が国際的な課題となっている現代において、生物多様性の保全や地球温暖化問題への取組みとして重要視されている森林や木材の活用のため、人材育成になくてはならないだけではなく、環境教育や持続可能な開発のための教育(ESD)の推進にも貢献する重要な教育であるといえる。そこで、環境教育など森林・林業に関する最新情報を取り入れた新たな教材・プログラムの開発を行うことを目的に、本年度は,専門高校の教育の現状および学習指導要領にもとづく教育内容の検討を行い,さらに新たな教育プログラム(新たな森林測定と森林管理手法)の考案を行った。 高校での森林・林業の専門教育の現状は、森林・林業関連学科・科目を開設している高校が69校で、このうち専門学科の設置は38校で、他は学科改編等によりコース設置(14校)、科目設置(6校)、総合学科(11校)となっており、体系的な林業の専門教育から,森林や環境を盛り込んだ幅広いに教育へと内容が広がってきていた。森林・林業教育の教育内容は、教科「農業」の中に3科目(「森林科学」、「森林経営」、「林産加工」)があり,平成21年に改訂された新学習指導要領の改訂点には、「林産加工」が「林産物利用」に名称変更されたことと、教育内容に森林の多面的な機能、循環資源としての木材が新たに加えられていた。こうした環境問題への対応が新たな教育プログラムのテーマとして挙げられた。 次に、森林・林業に関する最新情報を取り入れた森林・林業の専門教育のための教材・プログラムとして、GISとGPSを取り入れた森林管理の授業案(科目「森林経営」)を考案した。高校教員への研修会で教員を対象としたアンケート調査と、高校生を対象とした教育実践を通じたアンケート調査を行い、教育プログラムの実用性を検証した。
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