研究概要 |
高校での森林,林業の専門教育は、環境教育が地球温暖化問題への取組みや生物多様性の保全として重要視され、またESD(Education for Sustainable Development)の推進に貢献するためにも、森林の持続可能な利用をしてゆく人材育成としても重要とされている。そこで、平成21年に改訂された新しい学習指導要領および国際的な動向などの最新情報を取り入れ、森林,林業に関する教材やプログラムの開発を行うことを目的とした。 高校の森林・林業教育について分析した結果、新しい学習指導要領では、職業人の育成の観点から地域や関係各界との連携が強化され、地域との連携や地域貢献が重視されており、専門教育の内容には、森林の多面的な機能、循環資源としての木材が加えられていた。森林・林業教育では、専門的な知識や技術の習得に加えて、広く一般の職業人の基礎となる課題解決力やコミュニケーション力の育成が目指されていたことが明らかになった。科目の内容を見ると、従来からの森林、林業の知識や技術に関わる森林の保育など10項目の他に、森林や林業、木材の意義(多面的機能、循環資源としての木材)、森林空間の利用や管理(森林情報利用など)が変わってきていた。そこで、森林・林業の専門教育のための教材・プログラムとしては、循環資源としての木材や木質バイオマス、高性能林業機械などについて整理した。教材、プログラムについては、専門高校教員からの評価を得て、ブラッシュアップを図った。 森林,林業に関する専門教育に関する研究の成果は、日本森林学会および関連学会にて発表すると共に,専門高校教員向け研修会を通じて普及を図った内容を高等学校専門教育の現場に還元し、webでの公開も試行した。
|