研究課題/領域番号 |
21730722
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
是永 かな子 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (90380302)
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キーワード | 北欧 / 福祉国家 / インクルーシブ教育 / 制度 / 歴史 |
研究概要 |
平成23年度には、文献研究と訪問調査研究を実施した。 文献研究においては、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドにおけるインクルーシブ教育制度について、先行研究検討を行った。訪問調査研究ではノルウェー、デンマーク、スウェーデンを訪問し、各国の実態調査を行った。また各国で訪問調査を実施する際には、通常入手困難な一次資料の収集を行った。収集した文献は二次的な先行研究とともに文献研究に用いた。 本年度の具体的な研究実績は以下である。第一に、インクルーシブ教育を推進する専門家としての教員養成制度の比較研究、第二に、地方分権下における新たな学校制度構築のための意思決定プロセスの解明、第三に、ノルウェーで導入されているインクルーシブ教育を創造するためのLPモデルの分析、第四にインクルーシブ教育における特別学校の役割の検討である。これらの研究を通じて各国の制度的特色を明らかにした。 第一の結果からは、現在議論されている教員養成課程や研修による教員の専門性向上の方略が明らかになった。第二の結果からは、インクルーシブ教育を進めるために不可欠な地方分権の推進プロセスおよび民主的で経済的な教育制度改革カミ分析された。第三の結果からは、通常学級においてインクルージョンを進めるために、同僚性と省察に基づく通常学級教育環境の改善が常に必要であることが示された。第四の結果からは、インクルーシブ教育棚度の多様性や修学支援システムの保障、子どもの教育的ニーズに対応するために必要とされる「分離的統合」の視点から各国の教育制度を検討することができた。成果は学会発表および論文執筆によって公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は当初、1か国の訪問調査を実施予定であった。しかし結果として3か国訪問することができ、当初の計画以上に調査が実施できた。その結果、日本では入手困難な一次資料をもとに研究が遂行できたため、当初の計画以上に研究は進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現地での調査が必要不可欠な研究であるため、年間計画を早期に確定し、具体的な調査計画の策定、調査、分析、研究成果公表の見通しをもって研究活動を遂行する。このことによって全体的な業務やエフォート率を考慮した活動を滞りなく進める。
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