研究課題/領域番号 |
21730726
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
細川 美由紀 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (70434537)
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キーワード | 特別支援教育 / 学習障害 / 読み書き障害 |
研究概要 |
本研究では、発達障害児の早期発見・早期支援に関わる具体的な支援内容の構築について、主として学習障害に焦点を当て、(1)幼児期における読み書きに関わる認知機能の特徴とその発達および(2)幼児における読み書き障害のリスク評価とその支援の2点について検討することを目的としている。 上記の研究の目的を達成するため、本年度は幼児を対象とした認知処理能力の行動調査を実施した。所属機関の附属幼稚園および園児の保護者に協力を依頼し、合計87名の園児に対して調査を行った。認知機能の評価には、(1)音韻分解・抽出課題、(2)音韻復号課題、(3)単語逆唱課題、(4)フロスティッグ視知覚検査法の空間における位置課題を用いた。一方、かな文字読みの評価として、ひらがな単語の読みとひらがな単文字の読みテストを用いた。課題終了後、各課題成績間について月齢を制御変数とした偏相関係数を算出した。その結果、ひらがな単語および単文字読みに関しては、5歳6カ月以上の子どもではほぼすべて正確に読むことができていた。ひらがな単語の読み成績、およびひらがな単文字の読み成績と認知課題成績の相関を調べたところ、ひらがな単語、単文字いずれの場合においても音韻意識課題と音韻性ワーキングメモリ課題と呼称速度の間で有意に相関が高かった。一方、ひらがな単文字読みの得点と視覚認知課題成績との関連性は示されなかった。このことから、ひらがな読みの習得に必要な認知機能として、視空間能力よりも、音韻操作に関する能力の方が大きく影響を及ぼすことが推察された。今回の研究により、読み書きに困難を示す子どもの認知機能を評価する上での基礎資料を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的のうち、(1)幼児期における読み書きに関わる認知機能の特徴とその発達に関する検討は概ね順調に進展している。しかしながら、(2)幼児における読み書き障害のリスク評価とその支援については、該当する対象児がおらず、進展していない。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的(2)幼児における読み書き障害のリスク評価とその支援については、該当する対象児がおらず、支援を含めた研究が難しい状況である。そこで、今後は幼児における読み書き障害のリスク評価の側面に焦点をあて、今年度の調査において認知課題や読みの成績が相対的に低かった対象児において、来年度さらに同様の調査を行うことで読み書きの困難に関するリスク要因や、発達のキャッチアップに関する側面について検討を加えて行きたいと考えている。
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