本研究の目的は、北海道十勝地方の各市町村における特別支援教育に関連する社会資源(特に保育所・幼稚園・小学校・市町村保健センター)の地域連携体制の現状について把握・検証することと、今後の各市町村における地域連携体制の更なる充実にむけた課題を明らかにすることである。具体的には、1)保育所・幼稚園と小学校の連携体制の現状把握と課題の抽出、2)保育所・幼稚園・小学校と市町村保健センターの連携体制の現状把握及び市町村保健センター側の連携に対する認識や要望の明確化を行うことである。 研究計画初年度の平成21年度は、北海道十勝地方における特別支援教育の地域連携(調査対象は保育所・幼稚園・小学校の連携)についての実情把握が中心的課題であった。具体的な調査研究活動としては、北海道十勝地方の19市町村教育委員会への聞き取り調査と、同地方の全ての保育所・幼稚園・小学校へのアンケート調査を行った。また、次年度の研究課題への準備として、一部の母子保健担当者との面談を行った。 今年度の成果としては、各市町村教育委員会への聞き取り調査によって、市町村教育委員会が幼稚園を直接所管していない自治体がある等の理由で、幼稚園が特別支援教育の枠組みに含まれるという認識が金体として薄いことが示唆されたことである。 一方、保育所・幼稚園・小学校に対して実施したアンケートの結果、幼稚園からの回答はほとんどなく、次年度以降にさらに調査を進める必要があること、保育所でも特別支援教育コーディネーターの意義が認められていること、小学校では校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名が行われていても実際の運営に関しては十分に機能していないところもあること、などが見いだされている。
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