当初の計画では、研究A「"学びのユニバーサルデザイン化"の概念を取り入れた授業理論の構築」、研究B「ユニバーサルな指導方法および教材等に関するデータベースの作成」、(3)研究C「協同学習モデル授業の開発」という3つの研究の柱を立てて、研究を進める予定であった。しかし、研究Aについて資料収集を進めるうちに、子どもたちの学び方に合わせた授業の方法を開発すること、及び子どもたち自身が自分はどんな学び方で学んでいるのか、どんな学び方だとわかりやすいのかを気づかせることの重要性が見えてきた。 そこで、子どもが自分はどんな学び方をしているか気づくための「学び方を学ぶ授業」を開発することとした。研究Bに挙げたデータベース作成は保留となるが、「学び方を学ぶ授業」の開発を通じて、ユニバーサルな指導方法および教材等の具体例の開発へとつなげることができる。最終的には、これらを研究C:子どもの学び方にあわせたユニバーサルデザインな協同学習の授業づくりへとまとめることを目指すこととし、研究計画を若干修正した。 本年度はNYのSchool Attunedや多重知能の考え方を参考にして、「学び方を学ぶ授業」の実践を行ったところ、小学1年生であっても、自分がどのように頭を働かせているか内省が可能だったことが示された。また、日本協同教育学会にて「発達障害のある子どもの在籍する通常学級にける協同学習」というワークショップを企画実施し、協同学習実施上の課題や工夫に関する資料を得た。小学校教員から大学教員までと参加者層が幅広く、様々な年齢層で本研究の成果の活用が求められていることが示唆された。
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