研究課題
本年度、Deligne-Lusztig多様体のアファイン性判定の研究が大きく進展した。Orlik-Rapoportがアファインでないと予想していたG_2のDeligne-Lusztig多様体について定義方程式等を与え、予想に反しアファインであるという結論を得た。更にその手法が適用できるdistinguished Deligne-Lusztig多様体と特徴付けを行い、新しいアファイン性の判定法を与えることができた。論文も完成し、投稿した。また、正標数の体上の偏極アーベル多様体のモジュライ空間についても引き続き研究を続けている。Ekedahl-Oort階層の一般元のNewton polygonの決定はOort予想呼ばれるが、その偏極なし版の論文が昨年度出版された。数年間調べている、上のモジュライ空間に入るcentral streamと呼ばれる特別な部分多様体の配置についてであるが、多くの計算を行い基本的なデータを集めている。24年度も引き続き取り組み、まとまった結果を出せればと思っている。低次元の場合のジーゲルモジュラー多様体の構造にも興味があり、地道に研究を続けている:種数4以下の場合、Newton-polygon階層とEkedahl-Oort階層による「舗装」ができることに関しては、証明ができており、今年度中に論文を作成し出版できればと考えている。
2: おおむね順調に進展している
Distinguished Deligne-Lusztig多様体のアファイン性の判定法が得られたのは大きな進展であった。アーベル多様体のモジュライ空間の構造に関しては纏まった結果が出たわけではないが計算は進んでいる。
基本的には、多くのアイデア等を試し、地道に計算を積み重ね、突破口を開いたり面白い現象を見つけたりするより他ない。国内外の研究者との意見交換は、新しいアイデアを得る最もよい方法である。p-進代数群の表現論の集会を企画している関係でのp-進代数群の表現論の勉強・研究を始めており、その方面からの知見も活用できればと考えている。
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Proceedings of the international symposium in honor of Takayuki Oda on the occasion of his 60th birthday, Series on Number Theory and Its Applications
巻: 7 ページ: 41-55