研究概要 |
本年度は散在型3-互換群の中で最大のフィッシャー群Fi24の作用を実現する頂点作用素代数を構成し、また非シンプレクティック型3-互換群の最小構成要素である、対応するフィッシャー空間が位数3のアファイン平面となる3^2:2型の3-互換群をムーンシャイン頂点作用素代数の内部で具体的に構成するなど、本研究の基礎となる研究を行い、今後の土台となる結果を得た。 散在型3-互換群はFi22, Fi23, Fi24の三つがあるが、このうち前者二つは最後のFi24に含まれており、Fi24の作用を持つ頂点作用素代数が構成できれば残りの二つのフィッシャー群の作用も自動的に与えられる。そこで3.Fi24がモンスターの3A元の正規化部分群である点に注目して、ムーンシャイン頂点作用素代数を用いてFi24が忠実に作用する中心電荷116/5の頂点作用素代数を構成し、そのグライス代数から生成される部分代数の全自己同型群はFi24に一致することを示した。 非シンプレクティック型の3-互換群を研究するにはまず最小要素となる3^2:2をヴィラソロ頂点作用素代数から定まる自己同型群として実現する必要があるが、三元符号を用いて構成される符号頂点作用素代数を用いることでこれを実現し、特にムーンシャイン頂点作用素代数の内部で構成できることを示した。 以上の結果を論文としてまとめ、プレプリントサーバーに投稿することで一般に公表した(arXiv:1002.1777)。この論又は現在査読中である。
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