中心電荷6/7の拡大ヴィラソロ頂点作用素代数の表現論に内在する対称性を用いることで実現される3互換群の構造と性質を頂点作用素代数の視点から解き明かす研究を行った。特に有限3互換群において散在型に分類される24次のフィッシャー3互換群について研究を行った。これまでの研究において24次のフィッシャー群が作用する頂点作用素代数の構成に成功しており、その内部においてフィッシャー群の互換を実現する中心電荷6/7の拡大ヴィラソロ代数の構造をいくつかの具体的な例を計算することで調べ上げた。その結果、最近進展が目覚しい頂点作用素代数のZ3軌道体構成法が応用できることに気づいた。Z3軌道体構成法をフィッシャー群が作用する頂点作用素代数に応用することで中心電荷6/7の拡大ヴィラソロ代数の埋め込みの総数を決められる可能性が見えてきた。翌年度も引き続きこの研究を継続する。 また3互換群には自然な再帰的構造がある。24次のフィッシャー群の作用を実現する頂点作用素代数があれば、その再帰構造として23次のフィッシャー群の作用が得られるが、その作用を考察した結果、23次のフィッシャー群の作用を与えるヴィラソロ元の中心電荷は6/7ではなく25/28であることが分かった。この中心電荷の変化は非常に興味深く、3互換群の互換と(拡大)ヴィラソロ頂点作用素代数との間のこれまでに知られていない新たな一対一対応を与えうるものである。この対応関係について翌年度も引き続き研究を続けていく予定である。
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