研究概要 |
昨年度から引き続きフィッシャー群の3互換群としての再帰的構造と頂点作用代数との関係について研究を行った。昨年度までの研究で24次のフィッシャー群の再帰的部分群である23次のフィッシャー群が自然に作用する頂点作用素代数を発見し、互換類に対応するヴィラソロ元の中心電荷が25/28であることを決定したが、これらの結果をシステマティックに考え、必要となる設定及び得られる結論をまとめ上げることで、次のように大きく一般化することができた。 1.イジング元から作られる3互換群の一般的な構成法の確立 2.上記の方法で得られる3互換群の再帰的部分群を与える交換団部分代数の構成 昨年度に得られた結果は上記1をムーンシャイン頂点作用素代数に適用し、上記2により適切な交換団部分代数を取ることで23次フィッシャー群の作用を実現したものと一致する。さらに続けて上記2の手法を用いることにより、22次、および21次のフィッシャー群の作用も自然に得られる。上記2の結果より上記1で与えられる3互換群の再帰的部分群が次々に得られるが、重要な点としてその互換類に対応するヴィラソロ元の中心電荷は交換団部分代数の構造により決まり、一定値を取らないことが明らかになった。当初の研究計画では各フィッシャー群の互換類に対応する中心電荷は24次のものと同じですべて6/7であると考えていたが、そうではなく、23次の場合は25/28,22次の場合は11/12,21次の場合は14/15という値になる。これより、当初の目論見である中心電荷6/7の拡大ヴィラソロ代数だけを考えていてはこれら散在型3互換群を記述できないことが判明した。この事実は頂点作用素代数を用いた3互換群の理解に大きな進歩を与えたものと考えられる。
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