研究概要 |
これまでの研究に引き続き、実リー群上の球関数の明示的な表示、およびその保型L関数への応用として、アルキメデスゼータ積分の具体的な計算について研究を行った。Eric Stade氏(Colorado大学)との共同研究において、SO(2n+1)×GL(m)のスタンダードL関数に対するアルキメデスゼータ積分を、保型表現が無限素点においてクラス1主系列表現を生成する場合に計算した。Whittaker関数のMellin-Barnes型積分表示を用いることで、m=n,n+1の場合にLanglandsパラメータから決まる局所L因子と一致することを示した。さらにm=n-1の場合には、いわゆるunipotent積分があり、局所L因子に一致しないと考えられているが、局所L因子とBarnes積分の積になることを示し、局所関数等式を与えた。これは(m,n)=(2,1)の場合に、森山知則氏(大阪大学)と行った研究の拡張となっている。GL(n)×GL(n-2)の場合にも同様の結果を得た。 平野幹氏(愛媛大学)、宮崎直氏(東京大学)との共同研究で、GL(3)×GL(1)、GL(3)×GL(2)のアルキメデスゼータ積分の計算を行った。一般の保型表現に対しては、どのベクトルに対するWhittaker関数を用いてゼータ積分を計算するかが重要な問題になるが、特に後者においては、局所L因子と一致するようなWhittaker関数の組を、実素点の場合にはすべて決定した。
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