研究概要 |
昨年度までの研究に引き続き、実リー群上の球関数の明示公式、およびそのアルキメデスゼータ積分への応用に取り組んだ.昨年度までのEric Stade氏との共同研究において、SO(2n+1)×GL(n)、SO(2n+1)×GL(n+1)に対するアルキメデスゼータ積分と局所L因子の一致を示したが、この証明と不分岐有限素点における計算とのアナロジーを見出した。我々の証明において重要な割を果たすWhittaker関数の間の関係式が、L群の有限次元表現に対するPieriの規則と対応していることがわかり、この考察と併せてStade氏との共著論文をまとめ投稿した。このような対応は、今後他のアルキメデスゼータ積分の計算においても有用になると期待している。 Sp(n,R)上のクラス1主系列表現に対するWhittaker関数については、これまでにSO(n,n)からのテータリフトを用いて構成していたが、他の古典群の場合と同様に実階数に関する帰納的な公式を予想し、これを第2種Whittaker関数(偏微分方程式系のべき級数解)の場合に証明した。 森山知則氏(大坂大学)との共同研究において、Sp(2,R)上の主系列表現に対する一般化Whittaker関数の明示公式の研究に取り組んだ。Whittaker関数の積分変換が、一般化Whittaker関数に対する偏微分方程式系を満たしていることを、いくつかの場合に確認した。
|