研究概要 |
昨年度までの研究と同様に、実リー群上のWhittaker関数の明示公式の保型L関数への応用として、アルキメデス素点における局所ゼータ積分の計算に取り組んだ。 Bump-Friedberg(1990)は、一般線形群GL(n)の標準L関数と2次外積L関数を同時に解析接続するような複素2変数のゼータ積分を与えているが、この局所ゼータ積分は、GL(n)のWhittaker関数と[n/2]変数のSchwartz-Bruhat関数を含む積分である。実素点において主系列表現を生成している場合に、織田孝幸氏(東大数理)との共同研究により得ていたGL(n,R)の主系列表現の極小Kタイプに属するWhittaker関数の明示公式を用いることにより、局所ゼータ積分をn=4のときに計算した。いくつかの場合、極小Kタイプに属するWhittaker関数に対しては、Schwartz-Bruhat関数をどのように選んでも局所ゼータ積分は消滅してしまう。そこでWhittaker関数に適切な微分作用素を施してKタイプをずらすことにより、局所ゼータ積分が、主系列表現のLanglandsパラメータから決まる上記の2つのL関数の局所L因子の積に一致するようなWhittaker関数とSchwartz-Bruhat関数の組を明示的に与えた。さらに一般のnへの拡張を目指して、n=5,6のときの計算をいくつかの場合に実行し、アルキメデスゼータ積分の間にnについての帰納的な関係があることを確認した。
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