研究概要 |
本年度も引き続き研究目的の研究「1:Sobolev型不等式に現れる幾可構造の抽出」のためにポアンカレの不等式が成り立たず、従来の枠組みが適用できない非コンパクトリーマン多様体の連結和上の熱核の長時間挙動についての研究を研究協力者であるGrigoryan氏と共同で行った。 まず1-1「連結部分が非コンパクトな連結和上の熱核に表れるbottleneck effect」に関連した研究として、2つのユークリッド空間を回転体の表面で連結和をとった空間上の熱核の挙動の研究を行い、その回転体の構造と熱核のボトルネック間評価についての精密な評価を与えた。この結果はGrigoryan氏との共著論文としてまとめ、現在投稿中である。また、この結果を踏まえ、連結部分の構造と熱核のボトルネック間評価についての密接な関係についての研究が現在進行中である。 研究1-2「Sobolev型不等式の臨界に表れる幾可構造の抽出」1-3「連結和の特徴を反映したSobolev型不等式の導出」の部分的な結果として、適切な条件を持つ非コンパクトリーマン多様体の部分集合をとり、その境界でDirichlet条件を持つような領域上の第1固有値の評価から部分集合の境界のCapacity評価が得られた。これについては今後条件をより自然な形に整えて連結和を特徴づけるSobolev型不等式の解明を行う。 上記の研究と関連して、連結和上のFaber-Krahn不等式についての研究を行った。 Feber-Krahn不等式は熱核の上からのガウス型評価と同値であることがGrigoryanにより得られている。これまでコンパクトな連結部分を持つ連結和に関してはGrigoryan,Saloff-Coste,Carronの先行結果があるが、2つの空間上でFaber-Krahn不等式が成り立つとき、その連結和もFaber-Krahn不等式が成り立つことを示した。
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