本年度は研究課題1「連結和の特徴を反映したSobolev型不等式の導出」に基づき、連結部分が回転面であるような連結和上の熱核の長時間挙動のシャープな評価を得た。まず、この空間で等周不等式が成り立つことを示した。これによりglobalには上からのガウス型評価が成り立つことがわかった。次に、ユークリッド空間からhitting probability が小さいような部分集合を取り除いた空間では熱核の下からの良い評価があることを明らかにした。最後に、回転面へのhitting probabilityを計算することにより、回転面という非コンパクト部分集合のボトルネック構造が熱核に与える影響を明らかにすることができた。この結果はより一般の連結構造をもつ空間の熱核の詳細な評価を求めるための基礎となる結果である。また、関連するSovolev型不等式の導出を行うための重要な手掛かりとなる結果である。 以上の結果はBielefeld大学のGrigoryan教授と共同で論文としてまとめ、受理された。また、これらの結果は東北大学、金沢大学や香港中文大学などで行われたセミナー、研究集会、国際学会等で発表した。
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