研究概要 |
「研究実施計画」に対する本年度の成果は次の通りである: 1.ラグランジュ型写像類群Lgに特化したJohnson-Morita理論の展開に関して,最近発表された榎本-佐藤の理論を利用して,写像類群の第5Johnson準同型の像を決定することができた.次の第6Johnson準同型の像についても調査を進めている.加えて,G.Massuyeau氏との議論によって,Magnus表現との関連とともに,自由群の自己同型群の場合のJohnson準同型の像に関する新たな知見を得ることができた。これらの結果はLgに対するJohnson準同型にも応用可能なものである. 2.群Lgの有限表示可能性について,昨年度とは異なる複体を用いて調査を行ったが残念ながら決定することができなかった. 3.幾何学的側面からLgを理解するということについては3月に議論を行い,情報収集することを予定していたが,震災の影響により中止となってしまった. 以上に加えて今年度はA.Papadopoulos氏が編集をしている「Handbook of Teichmueller theory」という本に当研究内容に関連したサーベイ論文を書く機会を与えられ,その論文を執筆した.また,いくつかの国際研究集会において招待講演を行い,海外の大学でセミナー講演を行った. 本研究の最重要課題である,「Miller-Morita-Mumford類がトレリ群上で非自明かどうか」という問題について,計画では3つのステップを想定していたが,今年度6月にA.Hatcherによって報告された結果を用いると,最初のステップであるLg上で非自明であることが従うことがわかった.議論の詳細に関する情報を集めるとともに,関連している事項の学習を行った.
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