研究概要 |
自由群の自己同型群のJohnson準同型の研究を継続することで,いくつかの進展が得られた.まず,具体的に組み合わせ群論的な計算を行うことにより,定義域をIA-自己同型群の降中心列に制限した場合の策4 Johnson進同型の余核の構造を決定し,GL-加群としての既約分解を与えるととができた. さらに.この結果と,これまでに得られている結果を合わせて観察することで,自由群の自己同型群のJohnson準同型をIA-自己同型群の降中心列に制限したものの余核は安定的に,自由リー代数の包絡代数をリー代数としてアーベル化に一致するのではないかという予想を立て,実際にこれが正しいことを具体的な計算によって証明した.これによって,それまでに不透明であったJohnson準同型の像が完全ではないにしても,かなり鮮明になってきたと言える. 一方,自由群のIA-自己同型群の群論的な性質を研究するための道具の一つとして,Magnus表現と呼ばれる,古典的に知られている表現がある.一般に,これが単射かちどれだけ離れているかは重要な夫解決問題であったが。最近,Johnson準同型の理論を応用することにより,Magnus表現の核のアーベル化が無限階数の自由アーベル群を含むことを示した.従って,特にMagnus表現の核は有限生成でないことが分かる.現在は,これらの応用として,自由メタアーベル群のIA-自己同型群の2次元コホモロジー群が有限生成かどうかについて研究中である.
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