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2011 年度 実績報告書

ガウス写像の視点からの曲面の大域的性質に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21740053
研究機関山口大学

研究代表者

川上 裕  山口大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (60532356)

キーワード幾何学 / 函数論 / ガウス写像 / 値分布論 / 島 / 波面(フロント) / 平坦曲面 / 双曲計量
研究概要

本研究の目的は,空間内の曲面の大域的性質を調べる方法として,ガウス写像の像の様相と曲面の形状との関係を解明し,その応用を与えることであった,今年度は昨年度と同様に,ガウス写像の視点から,特異点を許容する曲面の大域的性質を調べることで以下に述べる結果を得ることができた.3次元双曲型空間内の平坦曲面のクラスは,波面と呼ばれる特異点を許容したクラスで考えると沢山の非自明な具体例が存在する,そのクラスの大域的性質を調べる上でこれまで双曲的ガウス写像の性質について調べてきたが,このクラスのベルンシュタイン型定理にあたる「特異点を持たない完備曲面場合はホロ球面と双曲型円柱に限る」といった,ガウス写像の値分布論的性質の応用として示されるべき幾つかの定理をこの視点では証明することができなかった.そこで研究代表者は九州大学大学院数理学研究院の中條大介博士研究員との共同研究で,平坦波面にワイエルシュトラス型表現公式を与えたときに生じる標準形式の比が有理型関数になることに着目し,弱完備性を仮定した場合のこの関数の除外値数の最良の上限を与えることができた.またこの結果を応用することで,先ほど述べたベルンシュタイン型の定理の別証明を与えることができた.この結果は値分布論の立場からも非常に重要な結果となった,なぜなら,これまでガウス写像の除外値数の最良の上限の評価は,極小曲面で知られているように"4"であることが常識であったが,この関数においてはより小さい"3"で評価できたからである.そこで研究代表者は,その関数について,除外値数の精密化に当たる「完全分岐値数(欠除指数)」の評価について調べ,同じく"3"で評価できることを示した.また,その結果の応用として,像の空間で考える,関数の像の(アールフォースの意味での)島の数について結果を得ることができた.この結果により,値分布論で有名なアールフォルスの5島定理といった島の数についての定理の幾何学的背景を明らかにすることができた.以上の結果は学術雑誌にまとめ,現在専門誌に投稿中である.また,この結果が評価され,幾つかの国内外の研究集会の招待講演を受けることができた.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Value distribution of the hyperbolic Gauss maps for flat fronts in hyperbolic three-space2012

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami
    • 雑誌名

      Houston Journal of Mathematics

      巻: 38 ページ: 115-130

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CMC-1 trinoids in hypebolic 3-space and metrics of constant mean curvature one with conical singularities on the 2-sphere2011

    • 著者名/発表者名
      M.Umehara
    • 雑誌名

      Proceedings of the Japan Academy, Ser.A Mathematical Sciences

      巻: 87 ページ: 144-149

    • DOI

      doi:10.3792/pjaa.87.144

    • 査読あり
  • [学会発表] 曲面のガウス写像の除外値数の上限の幾何学的意味について2012

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      2012年度日本数学会函数論分科会一般講演
    • 発表場所
      東京理科大学(東京)
    • 年月日
      2012-03-26
  • [学会発表] 曲面のガウス写像の除外値数の上限の幾何学的意味について2012

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      曲面論小研究集会
    • 発表場所
      東京工業大学(東京)
    • 年月日
      2012-03-20
  • [学会発表] 代数的議論によるリーマン面上の有理型関数の値分布論2012

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      淡路島幾何学研究集会2012
    • 発表場所
      国民宿舎慶野松原荘(南あわじ市)
    • 年月日
      2012-01-27
  • [学会発表] A ramification theorem for the ratio of canonical forms of flat surfaces in hyperbolic three-space2012

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      複素解析幾何セミナー
    • 発表場所
      東京大学(東京)
    • 年月日
      2012-01-16
  • [学会発表] A ramification theorem for the ratio of canonical forms of flat surfaces in hyperbolic three-space2011

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami
    • 学会等名
      The 10th Pacific Rim Geometry Conference 2011 Osaka-Fukuoka Part II
    • 発表場所
      九州大学西新プラザ(福岡市)
    • 年月日
      2011-12-08
  • [学会発表] 波面のGauss写像の値分布とBernstein型定理への応用について2011

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      研究集会:「多様体上の微分方程式」
    • 発表場所
      金沢大学(金沢市)
    • 年月日
      2011-11-12
  • [学会発表] 極小曲面論と函数論との関係について2011

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      第46回函数論サマーセミナー
    • 発表場所
      かんぽの宿別府(別府市)
    • 年月日
      2011-09-13
  • [学会発表] 波面におけるガウス写像の値分布とその応用2011

    • 著者名/発表者名
      川上裕
    • 学会等名
      第58回幾何学シンポジウム
    • 発表場所
      山口大学(山口市)
    • 年月日
      2011-08-29

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公開日: 2013-06-26  

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