研究概要 |
小磯深幸氏とBennett Palmer氏によって最近,球面に同相な非等方的平均曲率一定曲面はそのWulff図形と相似であることが示された.私はこの結果に別証明を与えた.いずれの議論においても,仮に結論が成り立たないとしたときに非等方的臍点が孤立していてかつその指数は負であることを示す必要がある.曲面の(普通の)平均曲率は面積汎関数の第1変分に現れることはよく知られているが,非等方的平均曲率にも対応する汎関数が存在し,Koiso-Palmerはその汎関数に関する情報に立脚して議論している.私はReillyの1976年の論文における設定に立脚して議論した.この設定で非等方的平均曲率一定曲面の方程式を記述し,それが楕円型であるのでHartman-Wintnerの定理を適用することによって結論を導いた. 昨年度,F_u=α+βe^F, F_v=γ+δe^<-F>という型の優決定系を調べた.特に3次元Euclid空間E^3内の臍点を持たない曲面でGauss曲率が零ではないものの上に現れる上述の型の優決定系が整合条件を満たさずかつ解が一意ではないための必要十分条件を求めた.この条件にsinh-Gordon方程式が現れ,この条件が成り立つ場合に曲面がisothermicであることと零ではない一定平均曲率を持つことは同値である.今年度,極小曲面の捉え方を考察した.E^3内の上のような曲面に対し,曲面上に現れる上述の型の優決定系を共有するE^3内の曲面がたくさん存在する.優決定系と曲面の族が対応し,さらに二つの1次元分布とある1形式が与えられた2次元多様体と曲面の族が対応する.極小曲面を含む曲面の族をこの対応の観点で特徴づけた.
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