臍点を持たい曲面が与えられたとき、その各点のある近傍UおよびU上の滑らかな関数fで、Uのある開稠密集合の任意の点で主方向はちょうど曲面の第一基本形式に関するfのHessianの固有方向であるようなものが存在することがわかった。 曲面が与えられたとき、その各点のある近傍UからEuclid平面E^2のある開集合Oへの微分同相XおよびO上の滑らかな関数fで、Uの各点での主方向のXの微分による像はちょうどE^2の平坦な計量に関するfのHessianの固有方向であるようなものが存在することが以前から知られている。主分布をこのように表現することによって、曲面上の孤立臍点の指数は1以下なのではないかという指数予想を、関数のHessianの固有方向場の孤立特異点の指数に関する予想に書き換えることができ、そして指数予想をLoewnerの予想の一部と捉えることができるようになる。 一方で、前段落におけるfのHessianは平面の平坦な計量に関するものであり、また微分同相Xは空間の共形変換、Gauss写像および立体射影の合成によって与えられるので、曲面に関する情報のうち主方向以外のものをfおよびそのHessianに見出すことは容易ではない。冒頭に述べた結果における関数のHessianは曲面の第一基本形式に関するものであり、曲面に関する情報との関係がよりわかりやすい。 冒頭に述べた結果を得るための手順は次のとおりである:(i).関数fが条件を満たすための十分条件をfと曲面のHopf微分との関係式として表す;(ii)その関係式を満たすfはある2階の双曲型偏微分方程式の解であることを示す;(iii)この方程式の解fで、Hessianがいたるところ恒等変換の定数倍と表されるものではないものを見つける。
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