研究概要 |
平成22年度は,21年度に行った研究「一階常微分方程式を一階ジェット空間の超曲面ととらえ,その微分方程式の解を超曲面上の曲線と考えることに関連した曲面間の安定写像の特異値集合についての研究」を継続して行った.具体的には,境界を一つ持つ向き付け可能な曲面から平面への安定写像の特異値集合の形状について研究を行った.境界が特異点を持たない場合には写像の特異値集合上の特異点は,カスプ特異点と2重点しか持たない.このとき,写像のホモトピー類と写像を境界に制限した時の回転数とは1対1に対応することを示し,曲面の種数と写像の回転数ごとに,カスプ特異点の数と2重点の数の和の最小値を決定した.さらに,最小となる時の特異値集合の形状を決定することが出来た.また,H.Levine,今井らにより特異値集合の情報による曲面のEuler数公式が得られていたが,今年度の研究の中で,境界を1つ持つ曲面から平面への写像で,曲面の内部では安定写像であり,境界上に局所的に(x,y)->(x^2,Y^2)と書かれる特異点を持つ場合にも曲面のオイラー数公式を得ることができた.これらの結果についてプレプリントを1遍作成中である. なお,申請研究の資料集めを兼ねて日本数学会九州支部会と2011年度日本数学会年会(会は中止になったが,アブストラクト集の発行により講演が成立したことになっている)にて研究結果の報告を行った.資料集めや研究打ち合わせのため,1つの学会,12の研究集会に参加した.
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