研究概要 |
当初は,本年度には発散図式N←M→Rの特異性をNで捕らえることで発散図式の普遍複体を構成しそのホモロジー群を計算する予定であった.しかし,特異点の分岐の様子を調べる計算がうまくいかず,ホモロジーの計算まで行うことが出来なかった. 国際研究集会で講演した際に参加者から「向き付け可能な閉曲面から球面への安定写像を固定したとき,その写像のホモトピー類の元が取りうる【特異点集合の成分数,カスプ特異点の数,2重点の数】はどのようなものか?」という質問を受けた.この質問は【一階常微分方程式を一階ジェット空間の超曲面と捉え,その微分方程式の解を超曲面上の曲線と考えることに関連した曲面間の安定写像の特異値集合について研究】の延長にあるものであり本研究課題に関連した重要な問題である.この問いに答える形で,先の3つ組の取りうる値を全て決定することができた.この結果について【第127回 日本数学会九州支部会(大分,2012年10月)】と【可微分写像の特異点論とその応用(東京,2012 年12月】にて報告を行った.学術論文【Geography of the singularities of stable maps of closed surfaces】にまとめ学術雑誌に投稿済みである. また,写像のホモトピー類の中でもっとも簡単な写像について,より一般的な状況の下で定式化を行い,今後の課題となる問題をまとめた.このことについて,【12th International Workshop on Real and complex Singularities (Sao Carlos, Brazil, July, 2012)】にて報告した.また,学術論文【Survey of apparent contours of stable maps between surfaces】にまとめて学術雑誌に投稿済みである.
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