研究概要 |
本年度は以下のテーマについて研究を行った. 1,向き付けられた境界つき曲面に対し,境界のカラー近傍からのモース関数を考える.このモース関数がいつ元の曲面から平面へのはめ込みに拡張リフトするかという問題について研究した.与えられたモース関数の正則点集合から構成されるvirtual Reeb graphを調べる事で,はめ込みへの拡張リフトの存在,非存在が判定出来る事を示した.またはめ込み拡張リフトをイメージホモトピーと呼ばれる同値関係で分類し,はめ込み拡張リフトがどの程度存在するかも決定した.この結果に関する論文はTopology and its Applicationsに掲載された. 2,向き付けられた閉曲面から3次元空間へのはめ込みを平面へ射影を合成して得られる安定写像を用いて研究した.平面への安定写像を1つ固定した時,それのリフトとして得られるはめ込みを正則ホモトピーで分類し,平面へのジェネリックホモトピーが空間の正則ホモトピーにリフトするための条件を与えた.応用として,球面の裏返しを平面に射影する事により,輪郭線の変化の様子を記述した.さらに名古屋工業大の平澤美可三先生と共に輪郭線の変化から逆に,空間内の球面の裏返しの様子を再構成した。この結果は8月に名古屋市立大で行われた「結び目の数理セミナー」12月に京大数理解析研究所で行われた「実閉体上の幾何と特異点論への応用」1月の近畿大学数学教室談話会で発表し,現在プレプリントにまとめている所である.
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