研究概要 |
前年度からの研究を拡張し,超準解析と算術の融合手法を算術における組み合わせ論等の諸種の問題に応用する可能性を探った.前年度までの研究で,公理化した超準解析の体系と2階算術の諸体系の強さの関係がある程度明確になったため,このアイデアを再起理論の手法と関連づけることやラムゼイの定理の強さを調べる研究等に適用することを目指して研究を行った. 再起理論との関連づけでは,樋口氏との共同研究により,前年度に行った2階算術の公理WWKLの超準的な特徴付けのアナロジーを考え,再起理論由来の算術公理DNRに超準的な特徴付けを与えた. また,再起理論におけるpriority argumentと超準的な手法を特定の条件下で組み合わせることを試み,Chong, Slaman, Yangらによるラムゼイの定理に関連したいくつかの保存性証明に別証明を与えた.また組に関するラムゼイの定理RT^2_2の強さを調べる研究に関連し,算術の超準モデルの手法によるBovykin, WeiermannのRT^2_2のП_2部分の特徴付けを一部拡張して,П_3,П_4部分の特徴付けを得た. 超準解析を用いた公理系と2階算術との比較としては,Sanders氏による,体系ERNAとП_1移行原理を用いた逆数学研究を,2階算術のものと比較・翻訳を目指す研究を行った.ERNA+П_1は,2階算術体系WKL 0と似たような逆数学的な振る舞いをする一方で,完全には一致しない部分もある.これまでに,ERNA+П_1は2階算術におけるパラメータを許さないΔO_2-CAと同じ強さを持つことが分かっており,より具体的な翻訳が得られるか等を今後の研究課題としている.
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