本年度は、本研究の最終年度を締めくくるため、一昨年から昨年にかけて得た、「Strong obstruction to shellability(shellabilityに関する頂点集合の制限とリンクをとる操作をマイナー操作とした場合の極小反例)は最高次元のpure-skeletonのみnonshellableで残りの次元のpure-skeletonはすべてshellable」という性質が3次元までは成り立つ、という結果を論文化する作業に取り組んだ。この過程で、この証明に用いる「2次元の単体的複体の任意の制限がshellableであると、その2次元pure-skeletonはextendably shellableである」という事実の証明をより分かり易く精緻にする作業が必要となり、これに多くの時間を割くこととなった。また、3次元以上のobstruction to shellabilityの理論にどのような含意を持つかの議論も行ない、今後の高次元のケースへの糸口となることを期待する結果となった。この論文は現時点でまだ執筆中ではあるが、アウトプットの形は完成しており、本研究の成果の一つとして形を作ることができた。 一方、本年度の研究開始時に記載したもう一つの課題である、任意の制限がshellableである集合族のマトロイド的扱いについての考察の方は、論文として発表するほどの成果まではいたらなかったものの、任意のpure-skeletonがマトロイドとなる単体的複体の性質について若干の知見を得た。本研究はこれで最終年度となったため、これ以上の発展には至らなかったが、今度別の研究の起点となることを期待したい。 上記の結果の他、前年度よりのグラフ上のゲームの性質などについての研究を継続し、いくつかの結果を得た。
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