研究概要 |
本研究では,非圧縮性粘性流体の二相問題に対するフェーズフィールドモデルを対象に,有限要素法による数値計算手法の開発と妥当性・正当性の解析を行う.そのために,数学的枠組み(数値解析向けの定式化)の研究,および数値実験による発見的考察と結果の検証に相当に力を入れる.さらに,構築した数学的枠組みに基づいて,二相流体問題の近似モデルとしてのフェーズフィールドモデルの正当性を解析するのも,一つの主要な目的である.究極には,フェーズフィールドモデルを中心に,二相流体問題,その数理モデル,数値計算手法を研究することで,多相流体現象とその数学理論およびその数値計算手法に,今までになかった視点からの新しい寄与をなすことを目標にしている、研究初年度である今年度は,研究協力者の先生方との討論行いながら,あるいは実際の計算現場の研究者との連絡を持ちながら,(I)二相流体問題の数理モデル,(II)二相流体問題のフェーズフィールドモデルによる近似・表現,(III)フェーズフィールドモデルに対する離散化,の三つを数学的に整理した.これにより,従来,有限要素法による離散化問題の研究では,流速・圧力・フェーズフィールド関数を求める有限要素空間の関係は明らかではなかったが,適切な関数空間設定について,目処が立ち,次年度への展開に向けて,大きな進展が得られた.
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