研究概要 |
1. ユニバーサル盗聴通信路符号化定理を構築するためのステップとして,古典通信路および量子通信路に対して,ユニバーサル通信路分解能符号化定理(universal channel resolvability coding theorem)を証明した.盗聴通信路符号化は,二者間通信で盗聴者が介在したときに,正規通信路と盗聴通信路のノイズ差を利用することで,メッセージを安全に正規の受信者に送信する暗号通信方式である.盗聴通信路符号化は,通信路符号化と通信路分解能符号化を組み合わせることで得られるが,正規通信路と盗聴通信路の特性をあらかじめ知っている必要がある.本研究では通信路が未知の場合でも適用可能な通信路分解能符号化定理を証明した. 2. 確率分布族および量子状態族の遷移可能性について,予備的な計算機実験を行った.量子状態族をベクトルの組であるとみなし,一方から他方へ移す線型写像が存在するかを判定した後,Choi同型を用いて,その線型写像が量子通信路に対応するかを判定する方法を用いた.量子状態族に対応するベクトルの組によっては,数値解析的に悪条件になることが分かった.
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