平成22年度は主にある特異性を持つ確率偏微分方程式に関する研究を行った。研究実績は具体的に以下のとおりである。1.昨年度引き続き、Levy型のノイズが加わった分数階の確率偏微分方程式の諸性質を調べた。Riesz-FellerポテンシャルとRiemann-Liouville微分作用素が含まれる分数ベキ微分作用素に関わる確率偏微分方程式の解の存の存在と一意性および解の正則性を考察した。この研究結果は論文に纏めて、現在は投稿中である。共同研究で、安定過程の作用素を典型例とするstable like確率過程の生成作用素に関する多次元空間上の一般化されたBurgers型の確率微分方程式について研究を進めた。これは多次元空間上の時空Levy型のノイズを考え、作用素のペラメータと空間の次元のある条件の下で、解の空間を決め、存の存在と一意性についての研究を行った。なお、加法過程の分布を不変測度に持つ確率偏微分方程式を構成することも調べた。2.Young図形に関する中心極限定理を調べた。二次元のヤング図形上のマルコフ過程が2010年に舟木氏と佐々田氏が導入され、それに関する流体極限が示された。これらの知見に基づき、二次元のヤング図形上のマルコフ過程に対する中心極限定理、つまり、流体極限に関する搖動問題を共同研究で調べてきた。ある非線形変換を行い、確率論的貯水池を持つ非対称排他過程に関する問題となって、研究課題を考察した。非対称排他過程に関する搖動問題について様々な研究があるが、目的としては不十分であり、よい空間でその問題を示した。その極限は熱方程式で表現されることが分かった。現在論文を執筆している。研究課題として今後も続いて行いたいと考えている。
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