研究課題
水と油の相境界の動きや、結晶成長時における結晶表面の動きなどを界面運動と呼ぶが、本研究では、結晶の界面のように折れ線曲線で相境界等が表現されている現象を扱った。特に、各線分の法線速度が運動方程式として与えられ、それが、あるクラスに属する折れ線曲線の各線分に対して定義されるクリスタライン曲率に依存するものを考えた。そのような曲率依存方程式のうち、特に(1)結晶界面の動きを記述するGurtinのモデルの一般化、(2)負結晶界面のモデルの1つである面積保存型クリスタライン曲率流、(3)結晶表面に見られる折れ線状スパイラルの運動、を扱い、解曲線の幾何学的特徴の変化について研究を進めた。平成23年度中は、上の各問題について以下の結果を得た:(1)界面の衝突が起らない条件については平成22年度中に結果があるが、より一般に衝突が起らないという仮定のもとでの解析を進めた。また、衝突が起きた時点では界面に特異性が現れるが、時間発展においてはそのような特異点は瞬時に解消される、という仮定のもとで時間発展を考え、形成された穴の有限時間消滅を示した。また、界面が閉曲線の場合については、有限時間で界面が凸領域になることを示した。これらの結果は論文化を行なっている。(2)曲率が非負の場合の有限時間凸性獲得については平成22年度中に成果があるが、その解析を更に進め、ある条件の元での非凸界面の形状変化について結果を得、論文化を行なっている。(3)従来のスパイラルの数理モデルの中心部の界面端点の動きは、多くの場合、中心に穴がある領域を考え、その内部境界と直交するという条件が課されるが、スパイラル結晶成長のモデルとしては不適切であると考えられるため、新しい端点の条件を提案し、その提案モデルに対する大域解の存在を示した。この結果は現在投稿中である。
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Discrete and Continuous Dynamical Systems, Suplement
ページ: 717-726
Journal of Math-for-Industry
巻: 3 ページ: 1-8
巻: 3 ページ: 21-25