研究概要 |
平成21年度は,安定レヴィ過程の最大値過程による処罰問題(以下,最大値処罰問題と呼ぶ)を考察した.最大値処罰問題は,矢野-矢野-Yor(2009)による先行結果である原点局所時間による処罰問題及びカッツ消滅型処罰問題とは本質的に異なり,その問題の解決には別の視点からの考察を必要とした.平成21年度の研究で明らかになったことは以下の通りである. (1) 最大値処罰問題が反射過程の周遊理論によって考察できることを突き止め,また,安定レヴィ過程の自己相似性を用いて,一般化されたAzema-Yorマルチンゲールを導入し,ある仮定の下で最大値処罰問題を(部分的に)解決した。(矢野孝次氏,MarcYor氏との共同研究,Annales de I'Institut Henri Poincareに掲載予定) (2) 最大値処罰問題がChaumont(1996)によって導入された二つのん-変換過程と深く関連することを明らかにし,最大値処罰を支配するシグマ有限測度の構成に成功した.またその証明のために,レヴィ過程の最大値における経路積分公式を導出した.(現在論文投稿準備中)
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