研究概要 |
平成22年度は、主に次のテーマについて研究し,成果を得た。 (i)距離化可能空間の距離関数全体がなす順序構造の解析 (ii)リンデレーフ空間の強制拡大による保存性 (iii)各点がGδ集合であるリンデレーフ空間の濃度の制約 テーマ(i)については、可分な距離化可能空間について、距離関数全体の集合がなす順序構造の特徴をgeneralized Galois-Tukey connectionの考えを用いて特徴づけた。さらに、得られた特徴づけを用いて、距離可能空間のコンパクト化の近似について過去の研究で得られていた結果との相互関係を詳細に検討した。 テーマ(ii)について、不可壊リンデレーフ空間(indestructible Lindelof space)の強制拡大による保存性について、半順序集合上の無限ゲームとの関係をさらに詳しく調べ、興味深い結果を得た。また、コーエン強制、ランダム強制に関するリンデレーフ空間の保存性についても考察し、過去のさまざま結果を包摂し、かつ新たな結果を含む定理を証明した。このテーマに関連して、不可壊リンデレーフ性と密接な関係のある遺伝的リンデレーフ性(hereditary Lindelofness)について、無限ゲームとの関係を調べたが、今のところ顕著な結果は得られていない。 テーマ(iii)について、M.Scheepers氏による「可測基数の存在が無矛盾ならば,各点がGδ集合である不可壊リンデレーフ空間の濃度が連続体濃度以下であることが無矛盾」という定理の証明を再検討し、より簡単な別証明を発見した。この別証明は、不可壊リンデレーフ空間と無限組合せ論の相互関係について新たな視点を与えるもので、このテーマの研究の進展に大いに寄与する可能性がある。
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