研究概要 |
本研究の目的は,次数和,連結度,独立数などの不変量がどのような関係にあるときにハミルトン閉路の存在を保証するのかを調査することである.特に,本研究においては,ハミルトン閉路を一般化した概念であるrelative lengthという不変量に関して研究を行っている.具体的には,relative lengthは「最長道の頂点数と最長閉路の頂点数の差」で与えられるもので,relative lengthが0であることとハミルトン閉路が存在することは同値であり,relative lengthが1以下ならば任意の最長閉路が支配的になる.我々は,ハミルトン閉路が存在するための2頂点,3頂点,4頂点次数和条件における規則性が,relative lengthが1以下であるための次数和条件にも存在するのではないかと予想した.そこでまず,relative lengthが1以下であるための4頂点次数和条件を与えた.この4頂点次数和条件とすでに知られている3頂点次数和条件と比較することで我々の提唱している予想に関して新たなる証拠を与えた.また,この4頂点次数和条件は連結度が関連しており,relative lengthにおける次数和と連結度の関係が明確になった.さらに,我々の提唱する最長閉路の長さに関する予想の解決のために2部グラフにおける最長閉路の研究を行った.特に今年度は,その第一歩として,ハミルトン閉路と指定された点を通る閉路の次数和条件の研究を行った.その結果,2部グラフにおけるこれらの閉路が存在するための次数和条件に差異があることがわかった.
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