研究概要 |
本研究課題を遂行するために,交付申請書に記載したとおり,今年度は1.「交差」の解消に関する理論と計算機実験の両面からの研究,2.「交差」に着目した経路問題の多項式時間で解けるクラス,の2つのテーマに対し,独立に取り組んだ. まず1については,「平面上のn点凸状配置に対するハミルトン閉路のフリップに関する交差の解消に関する理論と計算機実験の両面からの研究」を中心に行った.その1つとして,交差解消に必要なフリップの最大回数f(n)の計算機による実験を行った.昨年度までにn≦13までの結果を得ていたが,探索の方法を改良することにより,大幅に計算時間を減らすことができ,n=14まで計算することができた.ここまでの結果では,当初の予想f(n)=n-2は正しいことがわかった.15頂点以上について計算機実験を行うことは難しいと思われ,この予想の解決に取り組むのが今後の課題の1つである. また,2の「経路問題における多項式時間で解けるクラス」については,複数の倉庫を持つ場合の車両配送問題について取り組んだ.まず,1つの倉庫の場合と同様に,ピラミッド型の経路の中の最適解を求める多項式時間アルゴリズムを考案した.さらに,Monge性,Strong Demidenko条件を仮定した場合,車両配送問題の最適解の中にピラミッド型のものが存在することを証明した.これらの結果を組み合わせることにより,Monge性,Strong Demidenko条件が複数の倉庫を持つ車両配送問題においても多項式時間で解けるクラスを与えていることがわかった.この結果については,ハワイで行われた国際会議にて発表を行った.
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