研究概要 |
平成22年度は主に「円周上の連の分布理論とみの統計的応用」を主テーマとして,研究に取り組んだ.ここでは,2値確率変数列が円周上に配置された場合の連の厳密分布導出方法の提案を行った.円周上の連の分布理論は,様々な数え方のもとで考察されてきた.また,信頼性工学をはじめとする多くの工学的応用分野と密接に関わりながら発展をとげてきた.本研究では,工学的応用にも対処できるよう連の数え方を3種類提案し,統一的視点から扱った.そして,条件付確率母関数の方法を拡張し,円周上での厳密分布導出が可能となる方法論を確立した.さらには,この理論研究において確立された方法論と計算機を用いたアルゴリズム的研究を接近させるように努めた.数式処理システムを用いた(厳密分布が自動的にされるような)効率よい解析システム構築を行った.さらには.種々の母数推定問題を扱い,このモデルの推定可能性を例証した.これら理論的結果により,様々な信頼性モデルの提案が可能となり,より複雑なモデル解析が可能となった.例えば,circular consecutive-k-out-of-n:Fシステムの信頼性を厳密に求めることが可能となった.また,各アイテムに寿命分布を仮定した連続モデルの解析も可能となった.さらには,可換試行列上における分布理論構築もあわせて行い,Stress-strengthモデルにおける信頼度の厳密な導出方法の提案を行った.これらの研究結果は,統計的分布理論の発展に貢献するだけではなく,信頼性工学といった,応用分野の研究者にも影響を与えたものである.
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