研究概要 |
ランダムに成長するネットワークに関わる確率論の諸問題の研究を推進し,本年度は下記の成果が得られた:(a) 2次元Isingモデルの高温相におけるバーゴレーション問題について樋口保成氏(神戸大学)及びYu Zhang氏(コロラド大学)と共同で研究を行ない,種々の臨界指数の関係式を導出した.これば独立なパーゴレージヨジ問題におけるKestenの結果に対応するものであり,臨界点におけるスケーリング極限の研究が次年度に続く研究課題になっている.日本数学会年会における統計数学分科会の特別講演として招待を受け,この問題に関する研究成果をまとめて口頭発表することができた.学術雑誌への投稿に向けて現在論文を準備中である.(b) 氷の成長に対する不凍糖タンパク質について,曽原崇史氏,阿久津典子氏(大阪電気通信大学)と共同研究を行なった.排除体積効果を明確にとらえるべく,不純物のある2次元DLA成長モデルをモンテカルロ計算によって調べた.得られた結果をパーニレマショーン理論に基づいて解析し,不純物の連結に関する相関距離を導入することで氷の成長と不純物の蓮結との競合として統一的に理解できることを示した.得られた成果の一部は既に日本物理学会・日本結晶成長学会において口頭およびポスターにより発表した.学術雑誌への論文投稿に向けて現在結果をとりまとめているところである.
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