研究概要 |
ランダムに成長するネットワークに関わる確率論の諸問題の研究を推進し,本年度下記の成果が得られた:(a)2次元Isingモデルの高温相におけるパーコレーション問題について樋口保成氏(神戸大学)及びYu Zhang氏(コロラド大学)と共同で研究を行ない,種々の臨界指数の関係式を導出した.これは独立なパーコレーション問題におけるKestenの結果に対応するものである.今年度は国際会議や研究集会で成果の発表を行ない,証明の全体をプレプリントとして公表した(arXiv:1010. 1586, 146ページ).学術雑誌への投稿に向けて準備を進めている.臨界点におけるスケーリング極限の研究は次年度も継続して行なう.(b)曽原崇史氏,阿久津典子氏(大阪電気通信大学)と共同研究による,不純物のある2次元DLA成長モデルのモンテカルロ計算については,国際会議において研究成果の発表を行なった.また,不凍糖タンパク質以外の場合への適用可能性に関する考察を進めた.学術雑誌への投稿に向けて論文執筆中である.(c)自己の軌跡が推移確率に影響を及ぼす強化ランダムウォークで,はしご型グラフにおける極限挙動の研究を行ない,木グラフの場合の議論を拡張することによって0-1法則を示すことが可能な場合があることが判明した.この方向の研究は発展途上であり,次年度も引き続き研究を推進する.
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