研究概要 |
1.ランダムに変化する光学トラップポテンシャル下でのBose-Einstein凝縮のモデル方程式の初期値問題可解性を空間3次元以上で考察した.非線形項をランダムな線形方程式の摂動として扱うことを考えた.この場合,ストリッカ-ツ評価がランダムポテンシャルを含む線形Schrodinger方程式の解に対して成立するかどうかが鍵となるため,ランダム項つき線形方程式の基本解の構成と性質についての研究を行った(Ecole Polytechnique, Paris・Anne de Bouardとの共同研究). 2.非線形光学に現れるDhirchlet境界条件つき有界領域での非線形Schrodinger方程式の定在波の(軌道)安定性について研究した(北海道大学・菊池弘明氏との共同研究).Dirichlet境界条件下では線形方程式の第一固有値から分岐した非線形最少エネルギー解は,ある振動数(第一固有値に近い振動数と十分大きい振動数)に関しては,L^2臨界冪である非線形項の場合でも安定であることを証明した.有界領域ではなく全空間で同じ方程式の定在波を考えたときには,L^2臨界冪の非線形項のとき,定在波は爆発の意味で不安定となることが知られている.さらに,有界領域での定在波の安定性は,空間1次元に限ったときには,ある振動数だけでなく,すべての振動数に関して成立することを示した.また我々の結果により,Fibich and Merle(Physica D, 2001)の数値実験結果が理論的に実証されたことになる.さらに,定在波のまわりで線形化した作用素のスペクトル(線形)安定性についても調べた.
|