ナヴィエ・ストークス方程式の弱解の正則性のための十分条件を圧量の仮定の下で定式化することに成功した。金-小薗(2005)は速度場を用いた定式化によりそれまでの結果を拡張し、十分に小さい解は自己相似解のレートで爆発しないことを示した。詳しくは、スケール不変な弱Lebesgue空間を用いることにより自己相似解のレートを捕らえ、そのノルムが小さければ弱解が滑らかであることを示した。我々の結果は圧力がスケール不変な弱Lebesgue空間で十分小さく、自己相似解的な挙動をすれば速度場についても爆発が起こらないことを証明した。これは金-小薗の結果を圧力に焼き直しただけに見えるが、必ずしもそうではない。一つには、一般に圧力の情報から速度場の情報が得られるかはわからないこと。また、流体力学の観測論的立場からも渦度場や速度場に比較して圧力のほうが扱い易いことを鑑みると、我々の結果は意義があると考えられる。 ナヴィエ・ストークス方程式の力学系の問題に取り組んだ。これまでは有界領域だけでアトラクタの存在などが考えられており、非有界領域の場合への拡張を試みた。また回転流体などで現れる消散効果を持つ方程式についても同様の問題を考察した。ドイツ・パダーボルン大学のビョルン・シュマルフス教授との共同研究を行っている。
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