研究概要 |
今年度は、楕円型方程式における等角写像に対応した擬リーマン計量における等角写像を考察し、複素相関数の一種である新しいLimiting Carlemanweightを見つけることが出来た。これは複素幾何光学解の相関数にあたり、これを用いて定義される偏微分方程式の特殊解の遠方での増加と減少度、及び振動の具合を制御している。従って、新しい特殊解を見つけたことになる。従来は楕円型方程式のみにこの種の例が知られていたが、双曲型方程式を含む2階実主要型方程式に対する例は知られていなかった。 また現在、複素幾何光学解を構成する1つの方法で重要なカーレマン評価を考察している。David Dos Santos Ferreira(Paris 13 Univ.,France)とJerome Le Rousseau(Univ.Olreans,France)との共同研究で、もっとも基本的な場合に限定すれば、新しい相関数に対応した大域的なカーレマン評価に対する最初の結果を得た。現在、細部のチェックを行っている。対応する逆問題の例に関しては、共同研究が継続されている。 上記の応用として、流体力学に現れる連立の方程式の係数決定逆問題を考察している。 Jenn-Nan Wang(National Taiwan Univ.,Taiwan)氏との共同研究になるが、漸近解の構成のうち、複素相関数の決定と振幅関数の決定までできた。現在、漸近解の誤差項の評価と係数決定のアルゴリズムを考察しておりこの部分は研究を継続している。
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