平戌22年度においては、従属操作されたブラウン運動から生成されるレヴィ過程に対する加法的汎関数の大偏差原理についてまず考察し、対称安定過程の特性指数に緩変動関数をかけたものを特性関数にもつレヴィ過程に対して、加法的汎関数の大偏差原理を得ることができた。 次に、2011年3月に3週間ほどUniversity of WashingtonのZhen-Qing Chen教授を訪問し、現在教授と共同研究している時間に対して飛躍をもつ加法的汎関数の大偏差原理について議論をして、高次元の対称マルコフ過程から生成される不連続加法的汎関数の大偏差原理を連続加法的汎関数の組としてとらえることによって、大偏差原理を得ることができたが、その議論においてマルコフ過程の緊密性を仮定しているので、その仮定をはずすために、シュレディンガー作用素の固有値の挙動について現在研究している。測度値マルコフ過程から生成される汎関数に対する大偏差原理については、現在それに必要な非線形偏微分方程式のマイルドな解の存在と漸近挙動は得ているが、そこから大偏差原理を示すのに必要な解の特性については現在研究中である。最後に、現在応用面から注目されている幾何学的安定過程に対する加法的汎関数の大偏差原理について、その幾何学的安定過程の特性指数を合成したものまでを含めた対称マルコフ過程において証明した。そこでは、別の方法で調和関数を構成して、そこからスペクトル関数の微分可能性、加法的汎関数の大偏差原理を証明することに成功した。
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