作用素環上の2種類のエントロピーについて研究を行った。 ひとつはVoiculescuによって定義されたAF環上の自己同型写像に対するエントロピーをLinによって定義されたTAF環上の自己同型写像に対するエントロピーに定義の拡張をし、この新しく定義されたエントロピーについての諸性質について調べた。多くの性質は同様に証明することが可能であり、期待されたものは得ることができた。最も興味があったAF環ではない、TAF環の例である無理数回転環上でのエントロピーについても調べたが、期待された結果を得るまでには至らなかった。 ふたつめはPimsnerとPopaによって定義された相対的エントロピーと不変量についての研究である。エントロピーに関しては、長田まりゑによって新たな相対的エントロピーが定義された。長田まりゑによって得られた行列環での結果を一般のvon Neumann環上の設定まで拡張することに成功した。まだ、2つの有限次元可換環がPopaの意味で直交するかどうかの必要十分条件を与えることもできた。しかし残念ながらこの結果は非可換に拡張することができないことも同時に確認できた。一方で、PimsnerとPopaの不変量についても可換の設定がうまく利用できて、値を求めることができた。
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